糖尿病(とうにょうびょう)という病気、名前はよく耳にしても「実際はどんな病気?」と聞かれると、正しく答えられる人は意外と少ないかもしれません。実は、日本国内だけでも1,000万人以上が糖尿病と推定されており、さらにその予備群も1,000万人以上と言われています。しかも、その多くが自覚症状のないまま進行してしまう「サイレントキラー」でもあるのです。
■ 糖尿病とは?
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなってしまう病気です。本来、食事をすると血糖値が一時的に上昇し、それをインスリンというホルモンが調整してくれます。しかし糖尿病になると、このインスリンがうまく働かなくなったり、分泌が不足したりして、血糖値が下がらなくなってしまうのです。
【主な種類】
・1型糖尿病:自己免疫の異常で膵臓のインスリン分泌が極端に減る。若年発症が多い。
・2型糖尿病:生活習慣が原因でインスリンの効きが悪くなる。日本人の大多数はこちら。
・妊娠糖尿病:妊娠中に初めて発覚するタイプ。母体や胎児への影響も。
■ 初期症状がない?実は見逃しがちなサイン
糖尿病は初期にはほとんど症状が出ません。そのため、健康診断などで「血糖値が高い」と言われても放置してしまう人が多いのです。ですが、以下のような症状が出ていたら注意が必要です。
・喉が異常に渇く
・トイレの回数が増える
・体重が急に減った
・疲れやすい
・手足のしびれや視力の低下
■ 糖尿病を放置するとどうなる?
血糖値が高い状態が続くと、血管が傷つき、全身のあらゆる臓器に悪影響が出ます。代表的な合併症としては以下の3つがあります。
1.糖尿病網膜症(失明の原因にも)
2.糖尿病腎症(人工透析の原因1位)
3.糖尿病神経障害(手足のしびれ・感覚低下)
さらに、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高まります。
■ 糖尿病の予防とセルフチェック
糖尿病は生活習慣によって防げる病気です。以下のポイントを意識して、日常生活を見直しましょう。
✅ 食生活の改善
・甘いもの・脂っこいものを控える
・食物繊維を多く摂る(野菜・きのこ・海藻など)
・よく噛んで、ゆっくり食べる
✅ 運動習慣を取り入れる
・毎日30分のウォーキングなど軽い運動を
・階段を使う、一駅歩くなどでもOK
✅ 定期的な健康チェック
・年に1回の健康診断
・血糖値やHbA1cの定期測定
最近では、自宅でできる糖尿病セルフチェックキットも登場しています。仕事や育児で忙しい方や、病院に行きづらい方にとって、非常に便利なツールです。
■ まとめ
糖尿病は放置すると命に関わることもある一方、早期に気づき、対策すればコントロールできる病気でもあります。少しでも気になる症状があれば、放置せずに検査を受けてみましょう。
健康な未来は、今日の小さな習慣から作られます。