
一日中立ち仕事をした日や、デスクワークで座りっぱなしだった日の夜――
「なんだか足がパンパンに張ってる」「靴下の跡がくっきり残る」
そんな経験、ありませんか?
多くの人が感じたことのある“足のむくみ”。
「よくあることだから」「疲れてるだけでしょ」と軽く見がちですが、実はその裏に重大な血管トラブルが隠れている可能性があります。
今回は、足のむくみが体に伝える「血管のSOS」について解説します。
そもそも「むくみ」って何?
むくみ(医学的には「浮腫(ふしゅ)」)とは、皮膚の下に余分な水分がたまった状態をいいます。
血管から水分がにじみ出たり、リンパの流れが滞ったりすることで、体の一部に“水のだまり”ができるのです。
特に足は、心臓から遠く、重力の影響も受けやすいため、むくみが出やすい部位です。
一時的なむくみと「危険なむくみ」の違い
むくみには「一時的で問題ないもの」と「病気のサインで危険なもの」があります。
✔ 一時的なむくみ(生理的なもの)
・長時間同じ姿勢でいる
・塩分の摂りすぎ
・睡眠不足
・女性ホルモンの影響(月経前や妊娠中など)
これらは、体を動かしたり、休息を取ったりすることで自然に改善することが多いです。
⚠️注意が必要なむくみ(病的なもの)
・片足だけが異常にむくむ
・むくみが痛み・赤み・熱を伴う
・朝になってもむくみが引かない
・足の皮膚が硬くなり、靴が入らないほど腫れる
・全身に広がるようなむくみ
このような場合は、血管や内臓に異常がある可能性があるため注意が必要です。
足のむくみからわかる「血管の病気」
むくみの中でも特に注意してほしいのが、「血管に関する疾患」のサインとして現れるむくみです。
1. 深部静脈血栓症(DVT)
足の静脈に血のかたまり(血栓)ができ、血流が滞ってしまう病気。
長時間座りっぱなしの飛行機移動などでも起こることから「エコノミークラス症候群」とも呼ばれます。
・片足だけ急に腫れる
・押すと痛い
・熱っぽい感覚がある
放置すると、血栓が肺に飛んで肺塞栓症を引き起こすこともあり、命に関わる危険な病気です。
2. 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)
血液が逆流して、足の静脈がボコボコと膨らんでくる病気です。
女性・立ち仕事・遺伝的要因などがリスクに。
・足がだるく重い
・見た目に血管が浮き出る
・夕方になると強くむくむ
症状が進むと、色素沈着や皮膚のただれ(潰瘍)を起こすこともあります。
3. 心不全・腎不全の初期症状としてのむくみ
血液循環や水分代謝がうまくいかないと、足からむくみが始まることがあります。
両足に対称的にむくみが出て、押すとへこんで戻りにくいのが特徴です。
すぐにできる「むくみセルフチェック」
自宅でできる簡単な方法を紹介します。
1.すねの内側を5秒間強めに指で押す
2.指を離したとき、へこみが残っていたら“むくみあり”
また、片足だけがむくんでいたり、痛みや熱を感じたりする場合は、早めの受診をおすすめします。
むくみを防ぐ・改善する生活習慣
🦶こまめに足を動かす
→ 長時間座る or 立つ場合は1時間に1回は軽く足を動かしましょう。
🛁足を温める
→ 足湯や湯船にしっかり浸かると、血流とリンパの流れが改善します。
🧂塩分を控える
→ 塩分は水分を体にため込む作用があるため、控えめを意識しましょう。
🛏足を少し高くして寝る
→ クッションやタオルを使って足を心臓より少し高くすると◎
🧦弾性ストッキングの活用
→ 静脈瘤や長時間移動の際に有効です(薬局でも購入可能)

まとめ:足のむくみを「無視しない」
足のむくみは、ただの疲労や姿勢の問題ではないことも多く、
**「血管からのSOS」**である場合もあります。
片足だけのむくみや、繰り返す腫れ・痛みがある場合は、
血管外科や内科の受診をためらわないことが大切です。
日常の小さなサインに気づくことが、重大な病気の予防につながります。
「足がむくむな」と感じたら、体があなたに何かを伝えようとしているのかもしれません。
